Kaji Lab

KAJI LABORATORY

正式な研究室名は行動情報科学研究室です.行動をセンシングし,行動をデザインする研究室です.
スマートフォン等の各種センサを用いた屋内位置推定・行動認識技術の追求と,それに基づいた人間拡張や行動変容に資するシステムの実現を目指します.

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M2の宮脇雄也です. 情報処理学会アクセシビリティ研究会へ投稿した論文が「2019年度学生奨励賞」を頂いたのでご報告させていただきます.

発表した研究

宮脇雄也,梶克彦,こだわり行動からの切替促進システムによる長期支援と支援者への効果,情報処理学会研究報告,Vol.2020-AAC-12,2020.

研究概要

発達障がい児は定型発達児に比べ,行動の切替が苦手である. 特にこだわり行動から,別の行動へ切り替える切替行動が苦手であるという特性がある. この特性は,発達障がい児が日常生活を送る上で大きな課題となる. また,社会生活を送る上で,切替行動の習得が必要である.切替支援時の支援者の負担も大きな課題となる. 多くの支援者は,切替負荷の低減や精神面でのフォローを必要としている. 本研究では,こだわり行動から切替促進システムを家庭内での支援に導入し,約2年間実施した. その結果より,提案支援の対象者・支援者双方への効果と課題を考察した. 対象者の変化を記録し,切替支援の難しさと支援装置の効果をそれぞれ分析し,実験期間終了後に支援者へのアンケートを実施した. これにより,切替難度の低い切替支援において継続による効果が確認できた. また,家庭内での支援への関わり方を向上させる効果も確認できた.

感想

コロナウイルスの影響で発表はできませんでしたが,学生奨励賞をいただくことができました. 修士最後の学会でしたので残念ですが,とても嬉しいです. また,コロナウイルスの影響でブラジルでの研究をすすめることもできました. コロナウイルスの影響は計り知れないですが,悪いことだけではないと感じます.

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2月12日に修士2年生の修論発表会,2月13日に学部4年生の卒論発表会が行われました. 梶研からは修士生3名,学部生7名(5グループ)がそれぞれ発表しました.


2月12日は,修士2年生の修論発表会が行われました. 修士生3名が,学部卒業から2年間の研究成果を発表しました.


2月13日は,学部4年生の卒論発表会が行われました. 学部生7名(個人発表4名,グループ発表3名)が,学部3年生の配属から2年間の研究成果を発表しました.

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B4の安藤弘晃です. 第82回情報処理全国大会にて「FA機器間の相互作用モデルを用いた異常検知の基礎検討」について発表しましたので報告します.

研究概要

機器の保守管理には,長時間の安定動作を保証できる高信頼性が求められる. 現在,一般的なFA機器の保守管理法として,FA機器の故障を発見してから対処を行う事後保全がある. しかし,この手法では故障した機器の交換や修理が終わるまで製品の生産ができなくなる問題がある. また,故障時期や故障原因の予測もできないため,意図しない保全コストがかかってしまう.

FA機器の長時間動作のためには,異常を事前に知らせることのできるシステムが必要となっている. そのための保守管理法として,打音・動作音・目視等の人手によってのチェックやFA機器の様々な場所にセンサを取り付けて,センサ値を読み取るという手法が用いられる. しかし,人の判断に依存している部分が大きく,異常を発見する手法が確立されていない.

また,人のヒューリスティックスに頼らず,機械学習を用いて異常検知をする予防保全の研究がある . この研究では,大量のセンサを機器に配置し,取得したデータから機器の異常につながるデータを探し出し,機器の予防保全につなげる手法を提案している. しかし,この手法では大量のセンサを用意し,センサから取得した膨大なデータを処理する必要がある. これではコストがかかり,実装しにくい問題がある.

本研究では,FA機器間の相互作用のモデル化を行い,異常検知や保守管理,製品クオリティの向上といった,より高精度な制御を行うFAシステムの構築を最終目標とする. 最終目標までの第一段階として,本稿では相互作用のセンシング方法とモデル化手法の提案を行う.

感想

コロナが原因で現地開催が中止となり初のオンライン開催ということで貴重な経験ができました. 発表に関してサポートしていただいた梶先生,先輩方,他の先生方,本当にありがとうございました.

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B4の安部誠です. 3月5日~3月7日にオンラインで開催された情報処理学会第82回全国大会において研究発表を行いましたので報告します.

研究概要

近年,位置情報は様々なサービスに活用されています. 我々の研究室では,位置情報を在室者情報として活用した在室管理システム「滞在ウォッチ」を運用しています. 滞在ウォッチでは,利用者がビーコンを携帯し,部屋ごとに設置された受信機によりビーコンを検出して,在室者管理を自動で行っています.

しかし,管理者が状態確認の手法や受信機の停止頻度から状態確認を積極的に行う必要があるのと従来の可視化のみでは不十分な点がありました. そこで,管理コストを削減するために,突発的な停電やエラーで停止する受信機の自動復帰を行う手法,ビーコン点検を利用者自ら行うよう促す通知システムを提案しました.

コミュニケーション促進を実現するために,フロアマップに在室者情報を示す「滞在マップ」の構築,別のアクセス方法として LINE Bot によるアプリ化,利用者が受動的に情報を取得できる通知システムを提案しました.

感想

コロナウイルスの影響でオンラインで発表しました. 初めての学会発表でしたが、LIVE配信をするような手軽な感覚で議論ができました. こういった機会からもオンライン会議が注目させるきっかけになればいいなと思います. 今後は自らの課題を解決する方法としてゲーミフィケーションを用いて,自発的な行動を促す来訪促進や来訪予測などの他の応用法の検討をしていきたいです.

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こんにちは. B3の大鐘勇輝です. 3月5日(木)~3/7日(土)の日程で開催された情報処理学会第82回全国大会において研究発表を行ってきましたので,報告させていただきます. 今回の発表では「車輪に取り付けたBLEビーコンによる車椅子移動認識の基礎検討」というタイトルで,BLEビーコンを用いた車椅子の移動認識に関する研究を発表させていただきました. 残念ながら今年はコロナウイルス流行の影響で金沢工業大学での発表は中止となり,初(?)のオンラインでの開催となってしまいました. そのため,普段の学会発表と違いZoomを用いた画面越しでの発表となり,少し戸惑うこともありました100がなんとか無事に終えることができました. ちなみに余談ですが,3000人規模の学会をオンライン上で行うことに関して,あまり前例がないということありYahoo! ニュースさんで紹介されていました. また発表を行った結果,私の発表が学生奨励賞に選ばれました! 学会の場で賞を貰うのはこれが初めてだったのでとても嬉しかったです. 今後,研究活動を続けていくに当たって凄い励みになるなと思いました.

研究背景

私は以前に先行研究としまして,水野と共同で「 物体内部に設置したBLEビーコンの電波強度を用いた状態推定手法 」の研究を行なっていました. この研究は簡単に説明するとBLEビーコン(Bluetoothの電波を発するビーコン)の電波強度を用いてモノの状態を推定するというもので,低コストで設置・運用が行える点が既存の状態推定手法と比べて優れています. しかしながらこの研究では「閉まっている」,「開いている」というように2値の変化のみを対象としており,回転動作のような周期的に状態が変化するモノや複数の状態を持つモノは状態推定ができないという問題がありました. そこで本研究では,複数の状態を持つモノの状態推定を目的とし,その代表例として車椅子を用いることで「BLEビーコンを用いた車椅子の移動認識」を目指しました. また,最終的な目標として車椅子使用者の運動量推定の推定を行い,それをヘルスケアに応用することも目指しています.

提案手法

BLEビーコンは電波が微弱であるため受信機との距離や方向が変化すると受信電波強度も大きく変化します. そのためこの動画のように車輪にBLEビーコンを取り付けた状態で車椅子を動すと,周期的に変化する波形が得られます. 本研究ではこの特徴を利用し,この波形を解析することによって車輪の回転を捉え,車椅子の移動を推定します.

状態推定アルゴリズム

本手法の移動推定アルゴリズムは大まかに分けると次の5つの処理から成っています. まず最初に移動を推定したい車椅子にBLEビーコンと受信機を設置します. そして,BLEビーコンの電波強度データを収集し,ノイズを軽減するため取得データに対してローパスフィルタの適用と値の正規化を行います. 次に,ノイズを軽減したデータの中からピーク値を探し,最後にその情報をもとに車輪の回転数を推定します.

まず最初にBLEビーコンと受信機の設置フェーズです. 受信機は車椅子後ろのポケットにBLEビーコンは車椅子の車輪部に設置を行います. また,BLEビーコンにはパラボラアンテナ型の料理用の計量カップを取り付けており,特定の方向に電波を収束させ,受信機と位置が重なった際に大きな受信電波強度の変化が起きるようにしています.

指向性アダプタの効果としまして,取り付けの有無によって受信電波強度に変化が現れます. 左のグラフが指向性アダプタ無しで取った受信電波強度データのグラフで,右のグラフが指向性アダプタ有りで取ったデータのグラフです. グラフのオレンジ色で囲んだ部分は-40から-50dBmの範囲ですが,指向性アダプタをつけていないグラフと付けているグラフを見比べると,付けている方が受信電波強度が大きくオレンジ枠内にたくさんの波形が入っているのが分かります. また,下のグラフは生データにローパスフィルタを適用したグラフですが,オレンジ色の直線を引っ張った部分を比べてみると指向性アダプタをつけている方は波形の極大値部分が揃っているのに対し,指向性アダプタをつけていない方はバラついています. このことから指向性アダプタを取り付けることで,安定的でより顕著な電波強度変化を得ることができると分かります.

次にBLEビーコンの電波を受信するフェーズです. 受信機は車椅子後ろのポケットの部分に,BLEビーコンは車輪部分に設置を行います.

取得した生データにはノイズが載っているため,そのまま使用すると後の処理に悪影響を及ぼしてしまいます. そこでこのフェーズでは取得したデータの加工を行います. まず最初にスパイクノイズや細かいノイズを取り除くため,移動平均を用いたローパスフィルタを適用し,波形を滑らかにします. ここでローパスフィルタに使用するサンプル数は8個(時間にすると1.6秒分)としています. また,BLEビーコンは電池で駆動しているため,電池残量が減少すると送信電波の出力が弱まり受信電波強度も小さくなります. これにより後の処理の閾値が定まらなくなってしまい,結果として移動推定の精度に影響を及ぼします.そこで次の処理として,ノイズを軽減したデータに対し0~1の間の値になるよう正規化を行い変化の尺度の統一を行います.

次にピーク値を探すフェーズです. ピーク値とはある範囲内における極大値(極小値)のことで,本研究では回転数推定の指標として使用します. グラフでは赤で示した点が極大値を,青で示した点が極小値を示しています. 車輪の回転状態やBLEビーコンの電波状態によっては,ローパスフィルタで除去しきれない電波強度の揺らぎが発生し,ピーク値の判定を誤る場合があるので,ピーク値同士の時間間隔とそれぞれの信号強度に閾値を設けて誤検出の抑制を行います. 今回は時間の閾値として2秒,信号強度の極小閾値として0.00〜0.50,極大閾値として0.51〜1.00と設定しています.

最後に回転数を推定するフェーズです. 回転数は前のフェーズで見つけたピーク値の個数を指標にします. ここで移動推定には赤色で示した極大値のピーク個数と,青色で示した極小値のピーク個数を使う方法が考えられますが,極小値のピーク値は電波強度が弱く正しく検出できない場合があります.

そこで本手法では極大値のピーク個数のみを移動推定の指標として使用します. このグラフでは極大値のピーク値が20個あったので車輪は20回転したと推定します.

評価実験

提案手法の推定精度を確認するため評価実験を行いました. 使用機材として受信機はXperia XZ1をBLEビーコンはforcus system社製のFCS1301を使用し,受信機の受信間隔は200ms,BLEビーコンの送信間隔は100msと設定しています. また,機器の設置はそれぞれ写真に示す位置に設置しました. 実験設定として,車椅子をあらかじめ決めておいた数だけ車輪が回るよう動かし,実際の回転数と推定回転数をもとに正解率を出すことで評価することとしました.

評価実験の結果,セットごとの正解率は,1セット目が100%,2セット目が98.7%,3セット目が100%ととなり,総合的な推定精度は99.6%となりました. この結果から本手法の有効性を確認することができたと考えられます.

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B3の水野涼雅です. 3月5〜7に開催された情報処理学会全国大会にて発表を行いましたので,報告します.

発表タイトル

「BLEビーコンの受信電波強度を用いた睡眠位置認識の基礎検討」

発表概要

高齢化や怪我により多くの人が寝たきりでの生活を送っている. そのためベッド上での移動・行動は健康管理のため重要になってくる. これまで位置認識では圧力センサを敷き詰めたシーツを用いた研究や,ベッドの足に荷重センサを取り付ける研究が行われてきた. しかしそれらの手法では一般家庭への導入や,ベッドではなく布団への適用が難しいという問題があった. そこで我々はBLEビーコンの受信電波強度を用いた睡眠位置認識手法を提案した. BLEビーコンであれば薄くて小型であるため,シーツの下に設置したとしても違和感なく寝られる. ビーコンの受信電波強度は,水分を含む人間の身体が重なることで大きく減衰する. この現象を利用し,布団シーツ下へグリッド上に設置したビーコンの受信電波強度から睡眠位置を可視化する.

受信電波強度を収集した後ノイズを軽減するためデータに移動平均をかけ,手脚や身体ごとの変化の尺度を統一するため正規化を行う. そして閾値からそれぞれのビーコンに人が重なっているか否かの判定を行い,赤と青で可視化する. この可視化された結果を時系列ごとに見ていくと睡眠中や1日中の移動がわかる. 評価実験でビーコンごとの判定精度を求めた結果,正しく判定された個数は15個,正しく判定されなかった個数は3個となり正解率は83.3%であった.

感想

今回新型ウィルスの影響によりオンライン会議での発表になりました. 初めての試みで困惑することも多々ありましたが落ち着いて発表することが出来ました. また今回の研究を発展させまた別の学会でも発表できればと思います.

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