Kaji Lab

KAJI LABORATORY

正式な研究室名は行動情報科学研究室です.行動をセンシングし,行動をデザインする研究室です.
スマートフォン等の各種センサを用いた屋内位置推定・行動認識技術の追求と,それに基づいた人間拡張や行動変容に資するシステムの実現を目指します.

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M1の井上晴稀です. 7月3日〜7月5日に福島県磐梯熱海温泉 華の湯にて開催されたDICOMO2019において,研究発表を行いましたので報告します.

発表した研究

井上晴稀,梶克彦,乗車中の列車の各駅到着時間を自動表示するスマートフォンアプリケーション,マルチメディア,分散.協調とモバイル(DICOMO2019)シンポジウム,3A-2,pp.506-514,2019

研究概要

旅行や出張で遠出しているとき,その場所の交通事情がわからず急いで乗り物に乗ったとします. そのとき,ユーザは目的地までの到着する時間等を知ろうとします. このような情報は,乗り物の中にあるディスプレイでは詳しく提示されていないのが実情です. また,既存の乗換案内アプリケーションで目的地までの情報を得ようとすると,乗った駅や出発した時刻などの情報を入力する必要があり,手間がかかります.

そのため本研究では,乗客のスマートフォン端末を用いて自動的に乗っている列車を推定し,乗客に到着時間情報を提示するアプリケーションを開発および乗り物の推定手法を提案をします. 本研究では,移動手段を一つのサービスと捉え,様々なサービスを提供するMaaS(Mobility as a Service)の考えを取り入れています. 今回はあらゆる乗り物の中でも遅れが少ない鉄道に注目して推定手法を提案します. 列車に乗っている乗客は,アプリケーションを開くだけで列車の情報と到着時間情報が何も操作せずに得られます.

先行研究では,各駅停車の列車において,スマートフォンのセンサを用いて特徴量から駅間を推定し,応用として到着時間を提示する手法を提案しています. しかし,この手法では通過列車が存在する快速列車や特急列車といった優等列車では駅間推定が難しくなります. そこで本研究では,乗客の乗っている列車の路線と列車の進行方向を推定した後に,乗客の移動履歴に一番近い列車をGPSから推定する手法を提案します. これにより,優等列車においても到着時間情報の提供ができるようになります. また,本研究では複数の路線が並列走行していると判断した場合,乗客には隣接している路線の候補を提示します.

発表スライド

DICOMO乗車中の列車の各駅到着時間を自動表示するスマートフォンアプリケーション


感想

学会発表自体は初めてだったので,とても緊張しました. 特別招待講演の直後ということで,ハードルもかなり上がった状態からの発表でしたが,先生や先輩方からの指導もあり,無事発表を終えました. ありがとうございました.今回の発表に関する反省点は次に活かしたいと考えています.

個人的には初めての東北ということで,とてもワクワクしていました.実際に郡山市内を通り抜ける磐越西線に乗った瞬間,かなり興奮しました. 電車が2両編成(時間帯によっては4両もありましたが)でドアをボタンで開ける方式,もう完璧です. 私の地元である豊橋には飯田線というローカル路線が走っているので,この形式は随分慣れているのですが,実際に首都圏方面から来ていた人は驚いていたようです.

車内でヨークベニマルを見た瞬間に郡山を感じました. 実際には行きませんでしたが,また機会があれば行きたいと思います. 電車の風景はどんどん緑が多くなり,温泉街を感じる雰囲気に包まれ始め,磐梯熱海駅に到着しました. 前泊ということで特に歓迎の看板は立っていませんでした. 降りてから駅員さんに切符に無効印を押してもらったのですが,駅員さんの方言が強く,会津地方の洗礼を浴びました(地域的にはギリギリ中通りなんですが). おかげで前泊用に用意してくださったバスは無残にも私達を置いて出発. 「学会発表に来たからには運動しろ」というメッセージだったんでしょうか. 一緒にいた後輩たちと一緒に会場まで歩いていきました.

磐梯熱海は静岡県にある温泉街”熱海”の磐梯版ということで名付けられたそうです. 温泉街なので,あたりは旅館が非常に多く,歩いていると川の流れと共に雄大な自然あふれる街であると感じました. 駅から25分程度歩き,我々は会場である立派な旅館を目の当たりにしました. 青春18きっぷを使った旅行の宿泊先としてネットカフェを常用していた私からすると「こんなところに我々が泊まってもいいのだろうか」と驚いてしまいました.

会場では豪華な食事と温泉を堪能しました. とても楽しいひとときでした. 詳しくは実際に宿泊してください.

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B3の大鐘勇輝と水野涼雅です. 7月2日(火)~7/5日(金)の日程で福島県磐梯熱海温泉 華の湯にて開催された DICOMO2019 において研究発表を行ってきましたので,報告させていただきます. 今回の発表では 「物体内部に設置したBLEビーコンの電波強度を用いた状態推定手法」 というタイトルで,BLEビーコンを用いたモノの状態推定の研究を発表させていただきました.

大鐘勇輝, 水野涼雅, 梶克彦, 物体内部に設置したBLEビーコンの電波強度を用いた状態推定手法, マルチメディア, 分散協調とモバイルシンポジウム2019論文集, pp. 792-7992019, 2019.


研究背景

技術の発達によって,近年ではモノの高機能化が進んでいます. 例えば,スマートフォンと連携した機能や音声による操作,インターネットへの接続による外部からの操作など,現在では多くの機能が搭載されるようになりました. 中でもインターネットに接続する家電はIoT家電と呼ばれ,エアコンや照明,家の鍵から車に至るまで,数年前ではインターネットと無関係だったものが,今では当たり前のようにインターネットに繋がるようになりました. このようにモノの高機能化が進むと,それに伴って様々なセンサが搭載され,そこから多様なデータを取得することができます. ここで得られるデータは,リアルタイムなデータであれば留守時の防犯,履歴データなら無駄の可視化というように色々な活用が期待できます. ここで,これらのデータはIoT家電などからしか取得できず,ドアや椅子といったモノからは何もデータを取得できないといった問題があります. そこで私たちは,このようなモノからでも情報の取得を可能とするべく研究を開始しました.

提案手法

私たちが提案する手法では,BLEビーコンを直接モノの内部に設置することで状態を推定します. BLEビーコンの電波は微弱なためモノが動作し,ビーコンの遮蔽状態が変化するとそれに合わせて受信電波強度も変化します. 本研究ではこの変化を捉え,下に示すような処理を行うことでモノの状態を推定します.

推定精度

本手法の状態推定精度を確かめるために評価実験を行いました. 詳しい実験設定等は論文を参照してもらえばと思いますが,推定対象物として冷蔵庫,金庫,座椅子を用いて実験を行いました. その結果,以下のような結果になりました.

この結果からBLEビーコンを用いた状態推定手法は,モノの状態を推定するに当たって有効な手法であることが分かりました. 今後の応用としては,家中にBLEビーコンを設置して人のライフログの取得を目指したり,車椅子の車輪の部分にビーコンを取り付けて,移動をセンシングできないかなどを検討していきたいと思っています.

感想

大鐘と水野はB1の時から研究室に所属し研究を行ってきましたが,しっかりとした論文を書き,学会で発表したのは今回のDICOMOが初めてでした. そのため,論文執筆の際は何度もリテイクの指示が出て,締め切りの日は研究室に泊まるなど,書き上げるのには本当に苦労しました. しかし,大変な苦労が合ったからこそ,終わった後の達成感は今までの人生の中でトップ3に入るほど格別なものでした. 今回の論文の執筆およびDICOMO2019での研究発表は梶先生や先輩方のサポートのおかげで無事に終えることができました. この場をお借りして感謝いたします. DICOMO2019では学会とは思えないほど豪華な食事と温泉を堪能することができました. 発表は緊張して大変でしたが,楽しめて良かったです.

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7月に行われたDICOMO2019シンポジウムでのデモセッションにて,梶先生が「横歩きや後退に対応できるPDRスマホアプリ」で野口賞を受賞したほか,運営を通じて学術交流の活性化へ貢献した方に送られる特別功労賞を受賞しました. Webページの方にも記載されています.
https://www.ait.ac.jp/news/detail/0004295.html

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2018年7月4日-6日に福井県芦原温泉で行われたDICOMO2018シンポジウムにて以下の発表を行いました.

  • 宮脇雄也,梶克彦,こだわり行動からの切替促進システムの被験者家庭への導入,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム,pp.221 – 227,2018.
  • 四ツ谷 昂亮,伊藤 信行,内藤 克浩,中條 直也,水野 忠則,梶 克彦,大量の屋内PDR歩行軌跡を用いた歩行軌跡の高精度化,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム,5F-4,pp. 1040 – 1047,2018.
  • 野々村太志,梶克彦,公園や遊戯施設を対象とした子供のモビリティモデル構築,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム,6F-3,pp.1 – 8,2018.

感想

宮脇

発表は緊張せずとてもいい感じにできたと思います. 会場の聴衆が少なかった点と帰りが雨で帰れなかった点が残念でした.

四ツ谷

発表自体は楽しく行うことができました. しかし,相手に情報をスマートに伝えることの難しさも感じました. 他大学の方々と交流を深めることができ,とても有意義な3日間でした.

野々村

今回の学会は発表時間が12分,質疑応答が8分と質疑応答の比重が大きい. そのため,いつもよりも多くの質問やコメントを頂けて今後の研究の発展に大いに寄与できる物であったと思う. そして会場が旅館であり,温泉に入れる,料理が美味しい,部屋が快適というとても素晴らしい学会だった. 全体を通して帰りの道程以外は楽しい学会だったので是非また参加したいと思う.

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6月28-30日に北海道定山渓で行われたマルチメディア, 分散, 協調とモバイル(DICOMO 2017)シンポジウムで研究室から5人(kaji, omura, shota, naka, miyawaki)参加しました. 以下,発表内容と感想です.

  • 清水 祥吾, 伊藤 信行, 内藤 克浩, 中條 直也, 水野 忠則, 梶 克彦,加速度平面成分を用いた1歩ごとの進行方向推定. DICOMO2017シンポジウム, 1B-2, pp. 38 – 43, 2017.(優秀プレゼンテーション賞)
  • 大村和徳,野々村太志,内藤克浩,水野忠則,梶克彦,地域の潜在危険エリア発見のための子供の位置履歴転送デバイスの開発と評価.DICOMO2017シンポジウム,3B-4,pp. 500 – 505,2017. (ヤングリサーチャー賞)
  • 池田翔太,成瀬文尊,梶 克彦,部屋ごとのWi-Fi とBLE Fingerprintの比較に基づく BLE ビーコンの移動および故障検出手法 .DICOMO2017シンポジウム,8B-4,pp. 1614 – 1620,2017.
  • 中 久治,土井 敦士, 根岸 佑也,梶 克彦,音漏れモデルに基づくスマートフォンを用いた音漏れ検出手法. DICOMO2017シンポジウム,7G-1,pp. 1526 – 1533,2017.
  • 宮脇雄也,梶克彦,スマートフォンのリズムパターン認識と赤外線統合リモコンデバイスの連携による家電制御.DICOMO2017シンポジウム,DS-8,pp. 1847 – 1853,2017. (野口賞 3位)

感想

大村

最後のDICOMOでヤングリサーチャー賞いただけてうれしいです. とても有意義な3日間でした.

池田

去年と違い発表が最終日の最後のセッションだったので最後まで気が抜けませんでした. また,プレゼンはよかったのですが質疑応答が上手に応えることができなかったので,自分の研究をきちんと理解できていないと思いました. しかし,学会自体は全く違う分野の発表が見れて楽しかったです.

発表や質疑応答が満足にできなかったため反省している. 学会の雰囲気や他の発表にも大きく刺激を受けたため,当学会に次回も参加したい.

宮脇 :

デモセッションへの参加. 扇風機をスーツケースで運ぶのは大変だったが,持って行ったかいがあった. 話を真摯に聞いてもらえうまく伝えることができたと思う. 会場がざわざわしていた中でデモ機がしっかり動いたことはすごく嬉しい. 3日間色々な人とお話をできた. 美味しいご飯を食べれた. カッパがたくさんいた. 光ができなかったのは残念だが,実りのある3日間だった. 来年も行きたい.

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2016年7月6-8日で鳥羽シーサイドホテルで開催されたマルチメディア, 分散, 協調とモバイル(DICOMO 2016)シンポジウムで以下の発表を行いました.

  • 武島知勲, 梶克彦, 廣井慧, 河口信夫, 神山剛, 太田賢, 稲村浩,回転磁石マーカに基づくスマートフォン位置推定,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム,pp.889-898, 2016.
  • 大村和徳, 菱田隆彰, 内藤克浩, 水野忠則, 梶克彦, 長時間動作による無意識参加型センシングデータ取得特性の検証, 分散, 協調とモバイル(DICOMO 2016)シンポジウム, pp.1544-1549, 2016.
  • 池田翔太, 梶克彦, BLEビーコンをパカパカ, マルチメディア, 分散, 協調とモバイル(DICOMO 2016)シンポジウム, pp.899-904, 2016.
  • 丹羽美乃, 稲村茉夕, 梶克彦, リズムパターン認識に基づく緊急時対策用スマートフォンアプリ, マルチメディア, 分散, 協調とモバイル(DICOMO 2016)シンポジウム, pp.461-466, 2016.

また,梶の発表が最優秀プレゼンテーション賞を,丹羽の発表が優秀プレゼンテーション賞を受賞しました. 愛知工業大学HPに掲載されました.

梶准教授と研究室の学生が受賞

感想

大村:

興味深い研究発表を聞けて為になった. また,他大学の学生との交流ができ有意義な3日間でした.

池田:

初めての学会発表でものすごく緊張しました. 発表を行ったことで研究に対して必要なこと,やりきれてないことが分かりました. また,他人の発表を聞くことにより次の研究に役立てることができそうです.

丹羽:

他大学の学生,先生方と交流ができ,多くの意見をいただき充実した3日間でした. 頂いた意見を参考にしこれからの研究活動に活かしていきます.

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